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              縁取り緑(※緑黒) 







        逃げる腰を鷲づかみにして引き寄せ、緑間は黒子の逃げ場を無くしてしまう。
        「・・・・・・・っん、・・・・っ・・・・・・ぁ・・・・・・」
        ベッドの上で緑間の胴を挟むようにしてもがく身体を固定され、
        膝を曲げてなお焦れったそうに動く爪先は、シーツを巻き込んで幾通りもの跡を残す。
        目をつむったまま痛みと快感をはぐらかそうとして失敗している黒子の横顔を眺めて、
        緑間は躊躇しつつ、奥へ進む動きも止められなかった。
        「・・・っ・・、・・・、」
        ぐちっ、と響いてくる粘り気のある水音に顔を背け、黒子は声を殺している。
        「息をちゃんとしろ、・・・・・後が、辛くなる。」
        上半身を折り、その耳元に覆い被せるように囁いてみれば聞き分け良く、
        黒子は次第に浅い呼吸を繰り返すようになっていった。
        忙しない息継ぎの邪魔をしないよう、その下唇を何度も啄ばむ。
        汗なのか涙なのか区別の付かない目尻の水気を舐め取り、黒子の瞳の焦点が合うのを待つ。
        本当はさっさと圧し進めて、突き入れて散らしてしまいたかった。
        しかし相手の気持ち良さそうな顔を見ていたかったはずが、自失させてしまうほど
        疲労の濃い表情ばかりになっている黒子を見ていて、
        汗と精液で濡れた半身を埋めたまま、緑間は慎重に息を吐いた。
        空ろに喘いでいた黒子の横顔は、いつの間にか正面へ向き直り、熱の残る目元で緑間を見据えていた。
        「・・・・・あ、・・・の・・・・。」
        何か言おうとした黒子を遮り、腰を掴んだまま下腹部のぬるぬるとした白濁で指先を遊ばせる。
        横腹を撫ぜられる度引き付けのようにビクつき、下半身を擦られる毎に掠れた息が漏れている。
        「・・・っ・・・、・・・・・、」
        「急がなくていい。」
        「・・・いえ、動いてくれて、・・・いいです。」
        「・・・・・少し、落ち着け。」
        中断した行為を急かすなど、感覚を鋭くしている今の黒子にとっては無理があり過ぎる。
        自滅行為でしかない事が分かっていたので、誘いに乗るつもりはなかった。
        「それに、・・・・・まだ、」
        何か言おうとして濁した黒子の言葉を探ろうと、緑間は動きを止めた。
        シーツの布地を握り込んでいた黒子は、その隙を突くように深く息を吐き、
        よりにもよってぎこちなく脱力してきたので、緑間は抉るようにして下肢の先へ更に入り込んでしまった。
        「・・・・ふ・・・ぁ・・・っ、」
        黒子が動くことで、緑間も辿るように動く羽目になる。
        再び訪れた圧迫感に黒子が口を開け、物静かだった表情を崩し、緑間の方こそ煽られた。
        「・・・・・っ、・・・・けしかけるな・・・。」
        声に成らない声に喉を力ませ、様々な形に浮き上がっては消える細い喉筋に黒子の欲求が見て取れた。
        それらを捕らえようと緑間は喉元に唇を寄せるも、息苦しそうにしている黒子はかぶりを振るばかりで。
        止むを得ず、熱に浮かせた胸の尖りを舌で突付き、軽く歯を立ててやればたやすく肩まで震えが響いた。

        「・・・・・全部、挿れるぞ。」
        自分とは異なる骨格の、細く平たい身体を抱く。
        運動している割に筋量の少ない軽やかな肢体は、受け容れる器としては出来ていない。
        裸にしてしまえば肘も肩も骨張っている。子どもではない、けれど男としても確立していない。
        芯の完成していない未熟な身体など気味が悪い、はずなのに。
        色も匂いもしなかった身体に通じる事に、最初から戸惑いはなかった。

        「・・・っ・・・・・、っ、・・・、・・・ぅ・・・、」
        声は出させてやれないと言ったものの、今までの経験からして
        黒子の吐息混じりの嬌声は控えめなもので、階下に漏れる心配はほとんど無かった。
        ただ声を殺そうとして、息まで上手く吸えなくなっている事も度々あった。
        「み、どりま、くん・・・、」
        「・・・自分から苦しくして、如何するのだよ。」
        普段涼しげにしている顔は、伏せた目尻をしっとり濡らして、色を滲ませた顔に変貌する。
        「形、・・・覚えてるんです。」
        「・・・・・・何の、」
        「・・・・ってくる、ときの。」
        少しずつ繋がっていく最中、胴震いする黒子が紡ぐ言葉に。
        理性の淵まで試されている気分になった緑間は、眩暈を覚える。
        「だからキミが、僕を気遣って・・・くれて、るの、・・・分かってます。」
        「余裕も無いくせに、要らん事を考えるな。」
        「・・・・我慢、してくれてるのも、分かって・・・ます。」
        「 っ・・・・・・・、」
        「好きな通りに・・・・してくれ、るって、・・・言ってましたよね。」
        それは回想にうろたえた緑間が己を誤魔化すための台詞だったことを、黒子は知らない。
        「・・・好きなように、してくれませんか。」
        最後の、都合の良い言葉だけが途切れず、やけにはっきり聞こえてしまう。
        望まれた誘惑にはとても抗えない。
        「・・・・・・・・・・・・馬鹿め。」
        やり過ごす事も忘れ、緑間は貪るようなやり方で、色欲を滲ませる黒子の声を更に引き出すことにした。

        頭で考えても答えは出ない。緑間が見る枠の中には黒子しかいない。
        熱を持ったり、独り占めしたかったり、何時までも飽きなかったり、終わっても離せなかったり、
        自分でも驚くほど降っては涌き、積もる。人間らしい恋情は枠外には存在しない。

        思考も運勢も常識も、全てを超越して注いでしまう想いは、いっそ清潔だと緑間は既に確信している。
        愛しさは募って仕方が無かった。